アルミナ–ハフニア秩序構造の気相合成に成功 :: Self-organization of alumina-hafnia nanocomposite (JCS-Japan, 2021)

松本昭源君 (D1) の研究成果が、Journal of the Ceramic Society of Japan 誌に受理されました。論文題目は、「Preparation of HfO2–Al2O3 nanocomposite films using chemical vapor deposition」です。

本研究成果は、Journal of the Ceramic Society of Japan 2021年1月号のCoverに選ばれました。研究成果に関する詳細は、追って公開します。

S. Matsumoto, A. Ito, Preparation of HfO2–Al2O3 nanocomposite films using chemical vapor deposition, Journal of the Ceramic Society of Japan. https://doi.org/10.2109/jcersj2.20156

ストロンチウムハフネートの化学気相析出における有機金属原料の選定 :: Selection of metal-organic precursors for strontium hafnate (JCS-Japan, 2021)

藤江清花さん (M1) の研究成果が、Journal of the Ceramic Society of Japan 誌に受理されました。論文題目は、「Precursor selection for metal–organic chemical vapor deposition of SrHfO3 films with Sr(dpm)2 and Sr(hfa)2」です。

ペロブスカイト型ジルコニウム酸化物やハフニウム酸化物 (AZrO3AHfO3: A = Ca, Sr および Ba) は、熱伝導度が低く、融点が高いことから、熱遮蔽コーティング材料として期待されます。本研究では、優れた遮熱性と硬度を兼ね備えた材料としてSrHfO3に着目しました。しかし、熱遮蔽コーティング法として主流の大気圧プラズマスプレー (APS) 法や電子ビーム物理蒸着 (EB-PVD) 法を含め、これまでSrHfO3膜の気相合成に関する研究報告はありませんでした。

藤江さんは、MOCVD法によるSrHfO3の気相合成を提案し、これを実現するためにまずSr有機金属化合物原料の選定を行いました。我々の研究室では、これまでSrのMO原料としてStrontium bis(dipivaloylmethanate) (Sr(dpm)2) を用いてM型ヘキサフェライト (SrM) 磁性結晶等の合成を行ってきましたが、本研究ではより高い蒸気圧と反応性を有する Strontium bis(hexafluoroacetylacetonate) (Sr(hfa)2) に着目し、両原料を用いた比較実験を通じて、Sr(hfa)2原料を用いたSrHfO3のCVD合成に成功しました。

Sr(hfa)2 or Sr(dpm)2

S. Fujie, A. Ito, Precursor selection for metal–organic chemical vapor deposition of SrHfO3 films with Sr(dpm)2 and Sr(hfa)2, Journal of the Ceramic Society of Japan. https://doi.org/10.2109/jcersj2.20157

第36回セラ協関東支部 ★ 優秀賞・奨励賞

第36回 日本セラミックス協会 関東支部研究発表会が、2020年9月17日(木)、オンライン開催されました。伊藤研究室からは、相田、渋谷、松本、三觜、藤江および伊藤が参加しました。

研究発表を評価して頂き、三觜が優秀賞、松本が奨励賞を受賞することができました。研究内容と受賞者の写真を添えた学府のリリースは、次の通りです:三觜松本

三觜さんの発表題目は、「MOCVD 法を用いた Al2O3-Y2O3系複合膜の合成における原料組成が微細組織に及ぼす影響」です。共晶セラミックスは、共晶反応による秩序構造を形成し、機械的、熱的、光学的に優れた特性を発現します。これまでこのような秩序構造は、液相からの溶融凝固組織として知られてきました。三觜さんは、アルミナ-イットリア共晶系の有機金属化学気相析出 (MOCVD) に関する研究を重ねる中で、気相からの秩序構造の形成を見出しました。これは、気相成長複合材料の実現に向けた有力な実験結果です。三觜さんの優れた発表内容およびプレゼンテーション能力が高く評価され、今回の受賞となりました。
松本さんの発表題目は、「化学気相析出法による HfO2透明厚膜の合成とその蛍光特性評価」です。酸化ハフニウムは、密度が高く、実効原子番号が大きいことから、シンチレーション結晶として期待されます。しかし、融点が高く、温度に対して可逆相転移を示すことから、溶融凝固法や焼結法による透明蛍光体の合成が困難でした。松本さんは、気相法を用いた単斜晶HfO2の透明厚膜蛍光体の高速合成に成功し、その結晶成長様式や蛍光特性を報告しました。松本さんの優れた発表内容およびプレゼンテーション能力が高く評価され、今回の受賞となりました。