ケイ酸マグネシウムの選択的自己配向成長 :: Self-oriented growth of magnesium silicates, forsterite and orthopyroxene, for optical materials (Ceram. Int., 2019)

伊海雅和君 (2019年3月修了) の研究成果が、Ceramics International 誌に受理されました。論文題目は、「Self-oriented growth of (020) MgSiO3-orthopyroxene and (002) α-Mg2SiO4 films using metal-organic chemical vapor deposition」です。

MgSiO3は、地殻や隕石中に見いだされる鉱物であり、様々な結晶多形 (orthopyroxene (opx), clinopyroxene (cpx), protopyroxene (ppx), garnet, ilmeniteおよびperovskite) をとります。一方、Mg2SiO4も多形をとり、α相はフォルステライトと呼ばれ、ファインセラミックスとして電子部品や回路基板に用いられます。また、賦活元素をドープしたα-Mg2SiO4結晶は、レーザー媒質としても利用されます。

伊海君は、 Mg–Si–O系セラミックスの化学気相析出 (CVD: Chemical Vapor Deposition) に関する研究を進める中で、MgSiO3-opxおよび α-Mg2SiO4単相膜の合成に成功し、これらの化合物が自発的に結晶方位を揃えて気相成長する自己配向成長効果 (self-oriented growth) を見出しました。この自己配向成長効果は、 結晶学の観点から整理しました。

Graphical abstract for “Self-oriented growth of magnesium silicates, forsterite and orthopyroxene”
Graphical abstract for “Self-oriented growth of magnesium silicates, forsterite and orthopyroxene”

伊藤暁彦研究室では引き続き、CVD法を用いたMg–Si–O系セラミックスの材料探索や結晶成長プロセス開発、光学特性の評価を行っていきます。

尚、本研究成果の一部は、日本学術振興会科研費・基盤研究 (B) (17H03426) の支援を受けて得られたものです。


M. Ikai, A. Ito, Self-oriented growth of (020) MgSiO3-orthopyroxene and (002) α-Mg2SiO4 films using metal-organic chemical vapor deposition, Ceramics International. http://doi.org/10.1016/j.ceramint.2019.03.212.

Link to ScienceDirect topics: garnetilmenite and perovskite