AY2021-AW

2021年度秋学期がスタートしました。化学EPのカリキュラム変更と連動して、本年度から研究室配属が3年生の秋学期となり、新3年生5名が配属されました。メンバー増加に伴い8Fの実験室の一部を、学生居室に模様替えしました。

以下の研究プロジェクトがスタートしています (採択時期順)。

  • 環境情報研究院 共同研究推進プログラム 課題B (研究代表者: 横浜国大 伊藤暁彦)
  • JST SCORE大学推進型 (拠点都市環境整備型) イノベーションデザイン・プラットフォーム (IdP) GAPファンド (研究代表者: 横浜国大 松本昭源)
  • 科研費 学術変革領域研究(A)「超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント (領域代表者: 阪大 小泉雄一郎先生)」、「超温度場セラミックス材料創成科学 (計画研究代表者: JFCC 木村禎一先生)」
  • JST 戦略的創造研究推進事業 (CREST) 「劣化の学理に基づくセラミックスの信頼性革新 (研究代表者: 横浜国大 多々見純一先生)」

第19回次世代先端光科学研究会・極限的励起状態 第3回研究会 ★ 講演奨励賞

2021年10月8日(金)に、第19回次世代先端光科学研究会 及び 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ 第3回研究会がオンライン開催されました。伊藤研からは、三觜と藤江が参加し、研究成果発表を行いました。

研究発表を評価して頂き、藤江が講演奨励賞を受賞することができました。研究内容と受賞者の写真を添えた学府のリリースは、次の通りです:藤江

発表題目は「CVD法によるSrHfO3膜の合成とPLおよびシンチレーション特性評価」です。SrHfO3は、密度が高く、実効原子番号が大きいことから、放射線誘起蛍光体として期待されます。しかし、融点が高いことから、融液成長法による単結晶育成が困難でした。藤江さんは、SrHfO3厚膜蛍光体の化学気相析出 (CVD) 法による高速エピタキシャル成長に成功し、そのフォトルミネッセンス (PL) 特性やシンチレーション特性を報告しました。藤江さんの優れた研究成果およびプレゼンテーション能力が高く評価され、今回の受賞となりました。

第37回セラ協関東支部 ★ 奨励賞

第37回 日本セラミックス協会 関東支部研究発表会が、2021年9月21日(火)-22(水)、オンライン開催されます。伊藤研究室からは、梅堀、川田、出口、三觜、藤江および伊藤が参加しました。

研究発表を評価して頂き、三觜が奨励賞を受賞することができました。研究内容と受賞者の写真を添えた学府のリリースは、次の通りです:三觜

発表題目は「化学気相析出法によるAl2O3-Y3Al5O12複合膜の合成とその蛍光特性評価」です。三觜さんは、アルミナ-イットリア共晶系の有機金属化学気相析出 (MOCVD) に関する研究を重ねる中で、気相からの秩序構造の形成を見出してきました。今回、透明なアルミナ母相中にイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体がナノレベルで秩序構造を形成した複合膜を合成し、その放射線誘起蛍光特性を報告しました。三觜さんの優れた研究成果およびプレゼンテーション能力が高く評価され、今回の受賞となりました。 

第34回セラ協秋季シンポ ★ ポスター最優秀賞

第34回 日本セラミックス協会 秋季シンポジウムが、2021年9月1日(水)-3(金)、オンライン開催されました。伊藤研究室からは、松本および伊藤が参加します。

伊藤は、産学連携・技術マッチングセッション (2021 年9 ⽉2 ⽇(⽊) 13:00〜18:00) にて、「気相からの⾃⼰組織化を利⽤したエンジニアリングセラミックスの機能発現」と題して招待講演させて頂きました。松本は、クリスタルサイエンス —結晶育成技術の新展開と材料研究—セッションでポスター発表を行いました。

研究発表を評価して頂き、松本が最優秀発表賞を受賞することができました。研究内容と受賞者の写真を添えた学府のリリースは、次の通りです:松本

発表題目は「Ce3+添加Lu3Al5O12厚膜蛍光体の高速化学気相析出とその発光特性評価」です。X線による工業製品の透視検査は、内部の欠陥を非破壊で検出できる手法です。X線の可視化には無機固体シンチレータが用いられますが、検査画像の空間分解能を向上させるために、シンチレータの厚みを薄くする方法が研究されています。一般に、無機固体シンチレータは大型結晶として育成されるため、これを薄片加工するには大きなコストを必要とします。  
 松本さんは、厚膜形状の Ce3+添加Lu3Al5O12 シンチレータを、化学気相析出法を用いて高速合成することに成功し、そのシンチレーション特性を報告しました。本研究成果は、高分解能X線イメージング装置向け厚膜シンチレータの迅速製造プロセスとして活用されることが期待されます。松本さんの優れた研究成果およびプレゼンテーション能力が高く評価され、今回の受賞となりました。

自己配向性セラミックスコーティングに関する研究成果 :: CVD of highly oriented ceramic coatings (JCS-Japan, 2021)

伊藤がこれまでに取り組んできた研究成果の一部を、Journal of the Ceramic Society 誌に Review 論文としてまとめました。論文題目は「Chemical vapor deposition of highly oriented ceramic coatings in a high-intensity laser irradiation」です。本研究は、Open Access 論文として、2021年8月30日付で公開されました。

化学気相析出 (CVD: Chemical Vapor Deposition) 法に高強度レーザー照射を導入することで、気相と膜界面における析出反応が促進され、セラミックスコーティング製造における高速成膜と自己配向成長を実現できます。電子顕微鏡 (SEMやTEM) 観察を通じて、柱状、羽状、単結晶などのユニークな微細構造を持つセラミックスコーティングを合成できることが明らかにしてきました。

我々が研究しているCVDプロセスは、エンジニアリングセラミックス材料の高速エピタキシャル成長と優れた物性発現の両立を可能にするものであり、酸化物、窒化物、炭化物、およびそれらの化合物や複合体を高速で成膜することができます。本レビュー論文では、Al2O3, TiO2, Al2TiO5, BaAl12O19, BaTiO3, YBa2Cu3O7, CeO2 といった伝統的セラミックス材料として知られながらも現在でも実用材料として使用される一連のエンジニアリングセラミックス材料について、自己配向成長やナノ構造を制御したセラミックスコーティングを合成することで、新たな価値を付与することができることを示しています。


A. Ito, Chemical vapor deposition of highly oriented ceramic coatings in a high-intensity laser irradiation, Journal of the Ceramic Society of Japan. https://doi.org/10.2109/jcersj2.21135

Link to ScienceDirect Topics: chemical vapor deposition

JST-SCORE IdP-GAPファンド キックオフ

松本昭源君 (JSPS-DC2) が、JST SCORE大学推進型 (拠点都市環境整備型) イノベーションデザイン・プラットフォーム (IdP) の 2021年度 GAPファンドに採択されました。

松本君が中心となって推進している「VGC法による厚膜シンチレーター合成」について、事業化検証を進めていきます。

2021年9月27日(月) に IdPオープニングイベント Startup Academia が開催され、松本が参加します。