第34回セラ協秋季シンポ ★ ポスター最優秀賞

第34回 日本セラミックス協会 秋季シンポジウムが、2021年9月1日(水)-3(金)、オンライン開催されました。伊藤研究室からは、松本および伊藤が参加します。

伊藤は、産学連携・技術マッチングセッション (2021 年9 ⽉2 ⽇(⽊) 13:00〜18:00) にて、「気相からの⾃⼰組織化を利⽤したエンジニアリングセラミックスの機能発現」と題して招待講演させて頂きました。松本は、クリスタルサイエンス —結晶育成技術の新展開と材料研究—セッションでポスター発表を行いました。

研究発表を評価して頂き、松本が最優秀発表賞を受賞することができました。研究内容と受賞者の写真を添えた学府のリリースは、次の通りです:松本

発表題目は「Ce3+添加Lu3Al5O12厚膜蛍光体の高速化学気相析出とその発光特性評価」です。X線による工業製品の透視検査は、内部の欠陥を非破壊で検出できる手法です。X線の可視化には無機固体シンチレータが用いられますが、検査画像の空間分解能を向上させるために、シンチレータの厚みを薄くする方法が研究されています。一般に、無機固体シンチレータは大型結晶として育成されるため、これを薄片加工するには大きなコストを必要とします。  
 松本さんは、厚膜形状の Ce3+添加Lu3Al5O12 シンチレータを、化学気相析出法を用いて高速合成することに成功し、そのシンチレーション特性を報告しました。本研究成果は、高分解能X線イメージング装置向け厚膜シンチレータの迅速製造プロセスとして活用されることが期待されます。松本さんの優れた研究成果およびプレゼンテーション能力が高く評価され、今回の受賞となりました。

自己配向性セラミックスコーティングに関する研究成果 :: CVD of highly oriented ceramic coatings (JCS-Japan, 2021)

伊藤がこれまでに取り組んできた研究成果の一部を、Journal of the Ceramic Society 誌に Review 論文としてまとめました。論文題目は「Chemical vapor deposition of highly oriented ceramic coatings in a high-intensity laser irradiation」です。本研究は、Open Access 論文として、2021年8月30日付で公開されました。

化学気相析出 (CVD: Chemical Vapor Deposition) 法に高強度レーザー照射を導入することで、気相と膜界面における析出反応が促進され、セラミックスコーティング製造における高速成膜と自己配向成長を実現できます。電子顕微鏡 (SEMやTEM) 観察を通じて、柱状、羽状、単結晶などのユニークな微細構造を持つセラミックスコーティングを合成できることが明らかにしてきました。

我々が研究しているCVDプロセスは、エンジニアリングセラミックス材料の高速エピタキシャル成長と優れた物性発現の両立を可能にするものであり、酸化物、窒化物、炭化物、およびそれらの化合物や複合体を高速で成膜することができます。本レビュー論文では、Al2O3, TiO2, Al2TiO5, BaAl12O19, BaTiO3, YBa2Cu3O7, CeO2 といった伝統的セラミックス材料として知られながらも現在でも実用材料として使用される一連のエンジニアリングセラミックス材料について、自己配向成長やナノ構造を制御したセラミックスコーティングを合成することで、新たな価値を付与することができることを示しています。


A. Ito, Chemical vapor deposition of highly oriented ceramic coatings in a high-intensity laser irradiation, Journal of the Ceramic Society of Japan. https://doi.org/10.2109/jcersj2.21135

Link to ScienceDirect Topics: chemical vapor deposition

JST-SCORE IdP-GAPファンド キックオフ

松本昭源君 (JSPS-DC2) が、JST SCORE大学推進型 (拠点都市環境整備型) イノベーションデザイン・プラットフォーム (IdP) の 2021年度 GAPファンドに採択されました。

松本君が中心となって推進している「VGC法による厚膜シンチレーター合成」について、事業化検証を進めていきます。

2021年9月27日(月) に IdPオープニングイベント Startup Academia が開催され、松本が参加します。

2021 年度 エンジニアリングセラミックス若手セミナー オンライン

主催) 日本セラミックス協会 エンジニアリングセラミックス部会
協力) 先進バルク材料とそのシステムの高信頼性化研究会 (バルクセラミックス研究会)

【趣旨】エンジニアリングセラミックスをはじめとして、ガラス、陶磁器、耐火物、バイオセラミックス、粉体プロセスで作られる機能性セラミックス、さらに、薄膜/基板系も含めた広い意味のセラミックスの研究開発分野のさらなる発展・活性化には、若手研究者間、博士課程後期/前期課程で学ぶ学生間の切磋琢磨、情報交換、世代間交流が不可欠といえます。

 コロナ禍の現在、オンライン学会は定着してきましたが、機関を跨いだ学生間の交流の場が失われています。今年度の若手セミナーは、若手研究者間の積極的議論の場として、大学院後期・前期課程および学部学生を対象としたワークショップや研究討論会 (フリートーク) を通して、やる気に満ち溢れた若手研究者を中心とした意見交換を目的とします。

 特に研究者を目指す学生に対して、研究室内とは違った切り口でのデータの解釈法から研究における疑問・悩みを語り合う機会や、博士課程後期進学への興味を持って頂く機会となればと思い活動しています。多くの若手研究者、学生さんのご参加をお待ちしています。

・日 時:                  2021年 9月29日 (水)
・場 所:                  オンライン開催
・定 員:                  40名
・参加費:                  参加登録費 1,000円 ※1
・申込締切:             
 (1) 参加申込み 2021年 8月31日(火) 9月2日(木) (定員40名)
 下記のGoogleフォームより、お申し込みください。
 https://forms.gle/R1uyhfdzRWQQsqyF8

 (2) フリートーク(※2) 申込み 2021年9月7日 (火) (定員4~5名)
 フリートークのタイトル、著者リスト、ご所属をメールに記載して、下記の問合先までお申し込み下さい。合わせて、参加申込みをして下さい。なお、希望者多数の場合には調整させて頂くことがありますのでご了承ください。

・申込・問合先:       伊藤暁彦 (横浜国立大学)   E-mail: ito-akihiko-xr _at_ ynu.ac.jp
・プログラム(案):    
  午前:機関横断・学生参加型オンラインワークショップ
  ランチ:研究室紹介
  午後:フリートーク
  夕方:オンライン懇親会

※1 振込先は、追って連絡いたします。
※2 フリートークでは、ご自身の研究内容を10分程度で発表して頂きながら、質問が出尽くすまで参加者全員で議論を続ける形式をとります。必ずしもうまくいった話ばかりでなく、やってみたけれどもうまくいかない、実験結果が理論と合わないなどといった問題点の指摘や提案という話題提供も歓迎です。ぜひ奮ってお申し込み下さい。
※3 オンラインワークショップでは、所属研究室の異なる学生でチームを組み、各々の研究キーワードを融合して、持続可能な発展に資するイノベーティブでエンセラなアイディアを創出して頂きます。参加者投票により優秀なアイディアを表彰します。

過去の開催情報:http://ceramics.ynu.ac.jp/encerawakate/

第74回CVD研究会 (Invited)

2021年8月6日(金)に、第74回CVD研究会がオンライン開催されました。伊藤が参加し、「レーザーを援用した化学気相析出法による自己配向成長と蛍光体応用」に関する研究成果発表を行いました。