松本昭源君 (M2) の研究成果が、Ceramics International 誌に受理されました。論文題目は、「Highly self-oriented growth of (020) and (002) monoclinic HfO2 thick films using laser chemical vapor deposition」です。
HfO2 (酸化ハフニウム) は、融点が高く、靭性や遮熱性に優れる高温構造材料です。切削工具向けの硬質コーティングや航空機向けターボファンエンジンの耐環境性コーティングへの応用が期待されます。松本君は、HfO2の化学気相析出 (CVD: Chemical Vapor Deposition) に関する研究を進める中で、単斜晶HfO2が自発的に結晶方位を揃えて気相成長する自己配向成長効果 (self-oriented growth) を見出しました。
本論文では、熱CVD法とレーザー加熱CVD法を用いてHfO2膜を合成し、それぞれのCVDプロセスにおいて、成膜温度がHfO2膜の結晶配向や微細組織、成膜速度に与える影響を明らかにしました。特に、c面配向HfO2膜については、透過型電子顕微鏡を用いた組織観察を行い、c面配向HfO2膜を構成する柱状晶は単結晶様であることを明確にしました。また、自己配向成長効果を、結晶学の観点から考察しました。
伊藤暁彦研究室では引き続き、CVD法により合成したHfO2の機械的特性や光学的特性の評価を進める一方、ハフネート系セラミックスの材料探索を行っていきます。
尚、本研究成果の一部は、日本学術振興会科研費・基盤研究 (B) (17H03426) の支援を受けて得られたものです。
S. Matsumoto, Y. Kaneda, A. Ito, Highly self-oriented growth of (020) and (002) monoclinic HfO2 thick films using laser chemical vapor deposition, Ceramics International. http://doi.org/10.1016/j.ceramint.2019.09.156.
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